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今週の話題


1

いるかの教え


かねてからいるかというものはえらいもんだと感心していたのですが、最近この考えに賛成してくれる人がいたのでここに書きます。いるかや象はずいぶん知能が高いらしい。いるかや象の振る舞いを見ているとそれが正しいと想像できる。このごろ私は思うのだ。いるかだって洋服をつくることだってできたのだ。でもその能力を持っていながらやらなかった。どうしてか。

そう、未来を予測していたから。文明の発達している国の文化はどうも寂しい感じになってくる。ものが豊かになればなるほど、自然は侵されるし人間関係も希薄になる。でもみんな誰だってかっこいいものやら便利なものが好きに決まってる。もう何もかも手に入れたらやっと気がつくのさ。失ったものに。自分の愚かさに。でもそんなことはみ〜んないるかは知っていた。だから靴もはかなかったし、帽子もかぶらなかったのさ。もちろん作ることはできたんだけど、全然いらなかったのだから。足ひれやゴーグルだっていらない。裸が一番いい、と知っていたから。

そして寂しくなった人間はいるかの群れに会いに行ったり、ときには一緒に泳いでもらって癒されている、ふ〜う、一番かしこかったのはいるか・・。


2

カバ

この間テレビを見ていたら、ケニアのムジマという泉の湖に生息するカバの生態をやっていた。カバは目をつむって水の中で眠り、ときどき鼻を出して息をするそうだ。カバの生態はまだよく知られていない。カバは未知の生物なのだ。もしかしたら人間のからだも毛が薄く、つるつるしているけど、人間も昔水の中に住んでいた生物を祖先とするのかも、という学者もいる。テレビに映されるカバが透明な水中で動いて生きるようすを見たら、とても不思議な感覚が思い出された。


3

シュールな世界

FANTASTIC PLANET を見た。ずっと見たかった映画だ、扇町ミュージアムスクエアショップでDVDを見つけた。すごくシュールだ。

はあ、そうだ、私はこういうものが好きだったんだ。ずっと忘れていた。エドガー・エンデの画集によって空中を漂い、シュールレアリスム本でさらに上空を浮遊する。

旅先でも初めはシュールな作品を探していた・・だがいつの間にかアジアの土俗にはまった。

しかしこの映画を見て思い出した。やっぱりこれらのものも捨てきれない。かつての密かな喜びを味わおう。


4

なにわのガンジス

シュールといえば、夕方の淀川もなかなかシュールだ。

川面が夕焼けに輝く頃、東の方から一人のおばちゃんが忽然と現れる。おばちゃんはパンくずをまきながら、東から西に河川敷を歩いて行く。

すご〜くやさしい声で「ゆりかもめちゃ〜ん!」と呼びかけながら餌をまく・・。

おばちゃんは西に歩きながら、時々振り返っては、ゆりかもめちゃんがちゃんとパンを食べてるかどうか確認する。でもたいがいおばちゃんの蒔いたパンくずに群がっているのは鳩や雀で、おばちゃんはいきなり激昂する。

「おまえらとちゃうんじゃ!」と叫んで鳩や雀に突進する。鳩や雀は慌てて飛び立つ、しばらく行っておばちゃんは振り返る、また鳩がパンくずに群がってる、おばちゃんは悔しそうに「こらぁ!」と地団駄ふんで追い払う。でもおばちゃんは忙しいのだ。西へ歩き続けなければならない。ゆりかもめにやさしく呼びかけながらパンをまき、時々後ろを振り返って鳩を威嚇しながら、やっぱり西へ歩きつづける。おばちゃんの叫び声はどんどん遠くなっていく。おばちゃんが充分遠ざかるのを待って、鳩はのんびりパンくずに群がる、そして鳩が残したパン粉に雀が群がる。

黄昏どきの河川敷では、おばちゃんと鳩の攻防が今日も繰り返されるのだ。

おばちゃんはとってもゆりかもめが好きなんだ。


5

春の展覧会

●有元利夫氏展:京都駅の「えき」で3月〜4月中旬に開催された。

●秋野不矩展:没後初めての大回顧展が、兵庫県立美術館で4月26日〜6月8日まで開催された。

どちらも待ちに待った展覧会だった。関西で開催されたのは5年以上前になる。

有元氏(1985年に享年37歳で逝去)は静謐で幻想的なテーマを扱っている。見ていると意識の奥で休憩していた空想力が呼び覚まされて、お隣の世界に漂っていくことができる。

秋野氏(2001年に93歳で逝去)は、日本画の著名な画家であったが54歳でインドを初めて訪れたことで作風が決定的に変化する。以後インドの自然と生命、乾燥した大地に強く惹かれて独自のテーマと画風を確立してゆく。最晩年に完成した天竜市立秋野不矩美術館門外不出の7メートルの大作「オリッサの寺院」も出品されている。後に至るほどますます究まる宇宙感(浮遊感を伴う壮大な世界観)に圧倒される。


5

秋の展覧会

●クリムト展

クリムトと言えば、100年前と思えないほどの斬新なセンス、壁画ベートーベン・フリーズの構図の見事さ、この人のファンで画家になった人は数知れないと思う。1990年代にウィーンでクリムトの離散した作品を見て回った。9月の兵庫県立美術館での作品展はやはり良かった。代表作は少なく、当然壁画もレプリカではあるが、それでも以前の純粋な憧れを思い出すには充分だった。クリムトは時代に受け入れられなかった。大衆の前から退き「多くの人に認められてはならない、少数の人を満足させよ」というシラーの言葉を座右の銘としていた。

●レメディオス・バロ展

フリーダ・カーロとその時代のシュールレアリストの作品を集めたサントリー・ミュージアムでの展覧会。フリーダ・カーロはやはりすばらしいが、レメディアス・バロも見逃せない。ボスコの作品を彷彿とさせる摩訶不思議なテーマである。



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