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CD「紅花林」ベーシスト谷所暁による録音回想録


紅花林ベーシストによる録音回想録    谷所 暁

「こんな事、やってもええの?」 これが正直な感想でした。‥‥エレベを生音で録るか普通!?
常にクリエイティヴであるべき筈の我々アマチュアミュージシャンの中に、確かに存在する「固定概念」。それを宇都宮氏がことごとく−まるでお茶漬けでも食べるかのように−ひとつひとつ容易に破壊していく。2年以上にわたる録音は、我々にとってまさにその「破壊」の歴史でありました‥‥。

★トラック1 Missinng Moon
イントロの旋律は私のベースです。前半6小節はフラジオ、最後の2小節は実音。美しい音が出てるでしょ?ほんっと、ドクター宇都宮様々です。あ、私も頑張りましたが。

★トラック2 ふたこぶらくだ
レスリー通してベース弾かせるか普通!? とっても乾いた、しかしよく聴くと艶のある音に仕上がってます。

★トラック3 星の涙
出ました、逆回転ゲートリバーブ! いやらしくならない匙加減は、ドクター宇都宮にお任せです。
ベースは「Missing Moon」同様、ドクター作の超高感度マイクロフォンをアレンビックに極限まで近づけての録音。「演奏中に鼻息を殺す技術」をも体得できました‥‥

★トラック4 ピアノの音楽
我々の看板曲です。ベースは「ふたこぶらくだ」と同様のレスリー通過音です。
この頃は前任者の作った細かいラインを踏襲していました。今はもう少しゆったり、ラフなラインを弾いています。

★トラック5 イ短調の蝶々
これも妙なベースですね。弾いてる本人が言うのも無責任ですが。でもとても気に入ってます。なんと、4テイク、4トラック分のベースたち、そしてさらにアコギでプレイしたベースラインがミックスされているんです。録りは野外でした。ドクターの手になるスペシャルメイドの小型スピーカ使用。これがまたくるくる回るんです(笑)。で、お聴きの通りとてもクリアで日本的な音が鳴ってます。

★トラック6 黄色い空
これはドクターより「後半は特にきっちり弾かなくていいから」と言われました。素直な私は、極力え〜加減に弾いて見せ、「どうじゃ、ふふん」状態。‥‥何?NGでっか?ガラスの向こうでドクター苦笑。次のテイクでは、「丁度いい加減」に「いい加減さ」を出しましたとさ。

★トラック7 アラベスク
この曲は木琴を叩きました。ストーブの上ではお湯が沸いています。和歌山の人里離れた山奥での合宿、団欒の中で自然と出たアイディアに沿って、至極スムーズに録音が進みました。「ピン球+こたつ天板」には脱帽です。

★トラック8 ハモニカ楽士
Vnがいいですね。Bも美しく深い音色が出ています。ライヴでは決してこのアレンジでは出来ませんので、充分に堪能して下さい。だんだん判ってきたと思いますが、ベースは「Missing Moon」と同じ方法で録っています。

★トラック9 肌色のクレヨン
この曲のベースは分厚いでしょ?これは、アルバム中唯一、「普通にスタジオでライン録り」の2テイク2トラックのベースをミックスしてます。しかし、録るときにはそういう前提は知らされていません‥‥つまり、この曲に関しては私は毎回ほぼ同じのことを弾いてたんですね(笑)。

★トラック10 シャンプーの残骸
「イ短調の蝶々」のHR擬似ライヴ風アレンジです。ベースはかなり歪んでますが、ドライヴ感が心地よいでしょう?

★トラック11 孵化
従妹の彩ちゃんが、とても高価な借り物の楽器を携え応援に来てくれました。ええ音してます。
ベースはお馴染みの至近距離生録音ですが、その他に野外でソプラノリコーダーとアコーディオンを演奏しました。また同じく野外にて、「‥ガッガッ、‥ガッガッ‥」っと、ヘッドフォンを装着した男3人が夜な夜な地面にブロックをこすりつける音を録音したことが何より鮮明に思い起こされます。




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